中小企業特化のM&Aアドバイザー教育・養成・資格と中小企業のM&A(第三者への事業・企業の友好的な承継)の啓蒙

売却を検討されている企業団体様へ

売り手が知っておきたいM&Aに向けた心構え

M&Aにおいて、最も重要な留意事項が、「情報機密を守ること」です。これは、M&A実行途上で知ったすべての機密情報を当事者が守り、親戚、友人、従業員を含む外部への情報漏洩には細心の注意を払うべき事項です。M&Aの行方は最終契約書に調印して、譲渡代金が振り込まれるまで未確定です。まだ決まらない段階で、従業員に知られてしまい精神的動揺を与えた結果、キーパーソンが退職してしまったり、取引先に知られてしまって悪い噂が広まり、売上の減少にもつながるという事態を招く恐れがあります。この様な事態に陥った場合、最悪M&A自体が頓挫してしまうということにもつながります。この様な事から、M&Aアドバイザー、売り手、買い手を始めとしたM&Aに係る全ての関係者は、情報機密の重要性について十分理解をし、機密を保持していかなくてはなりません。

一般的に、買い手側が買収の判断をするにあたっては、①財務会計、②ビジネス、③法務の三本柱から判断をします。①「財務会計」では、過去三期分の決算書や直近の試算表を参考にして、事業の実績と財務状況を把握します。特に、買い手が重視するのは、収益性を判断する材料となる売上高と経常利益(営業利益)ですので、買いたいと思わせる様な魅力的な事業、つまり収益性のある黒字事業である状態が望ましいと言えます。尚、株式譲渡の場合には、負債の額とその中身も重視されます。②「ビジネス」の観点からは、事業の強み、弱み、機会、脅威(SWOT)を把握し、事業の分析をします。他では手に入れにくいもの(ブランド、優良な取引先)などを持っていることはプラス要因となります。オーナーが抜けてしまっては、経営がまわらなくなってしまうなどは大きなマイナス要因となってしまいます。優秀な人材を育成しておく事が必要と言えるでしょう。買収前には、専門家によるデューデリジェンスが行われますので、不正や簿外債務などがない様にしておく事や、法令遵守の姿勢は最低限必要となります。法令遵守の姿勢は、上記③「法務」の観点からも重視されます。

また、M&A完結までには約3~12カ月程度の時間を要するため、その間に業績が悪化してしまって最悪売却できなくなってしまう場合もあります。売却のタイミングを逃さない事はもちろんですが、売却の決断をした場合には、M&AのことについてはM&Aアドバイザー等の専門家に任せて、本業に集中することが望ましいと言えるでしょう。

また、M&Aアドバイザーとのやりとりの中で、一番気をつけなければいけないのが、会社の良い状況も不利な状況も包み隠さずに正直に伝える姿勢をもつことです。後日、買い手に伝えていた内容と大きくずれる事実が浮上した場合、買い手が疑心暗鬼になってしまう事もあります。最初から開示していれば、信頼のおける会社という印象を与えますが、後から瑕疵が浮上した場合には、一気に買い手との信頼関係を損ね、交渉が破談となるといった事にもなりかねません。したがって、M&Aアドバイザーとの最初のインタビューの段階からすべて正直に包み隠さすに伝えることが最終的に買い手にとっても有利に働くことになります。

また、M&Aの交渉においては、売り手の気力と体力の消耗は激しいと言えます。売り手は買い手が要求してくる資料を準備作成、さらに質問に回答するといった作業が続きます。また買い手が交渉テーブルから突然降りてしまうといった事態が発生する事もあります。交渉に入る前には、予め精神的にも折れないという覚悟が必要です。

売り手が知っておきたいM&Aに向けた心構え


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